事業承継を取り巻くステークホルダー

会社には株主、経営陣、金融機関、取引先といった多くの関係者(ステークホルダー)が存在します。事業承継を行うにあたってはこれらのステークホルダーとの関係を事前に整理することが重要です。

 

株主

株主は事業承継の対象といえる地位です。株主は、役員(取締役、監査役など)の選任解任権その他会社の多くの事項についての決定権を有しています。株主が普通株のみであり、1人しかいない場合はその構造は単純で、当該株式を譲渡するだけで事業承継は完了します。

しかしながら、創業時からの共同経営者である複数の株主がいる場合や、親族、友人、取引先から広く出資を受けていることで多くの株主が存在する場合、過去に相続が行われ株式が親族内で分散している場合、従業員持株会が一部の株式を保有している場合などの事例も多く見られます。

また、普通株式以外に優先株式などが様々な理由で発行されており、これらには普通株転換権などが付されている場合も多くみられます。

経営陣

経営陣(役員)は取締役、監査役などから構成され会社の業務を執行します。取締役の中から選任される代表取締役が会社の代表権を持ち、通常は会社の職階上、社長や会長、最近ではCEOなどの肩書きが付されています。

取締役、監査役は、会社の従業員だったいわゆるプロパーのみで構成されていることが多いですが、取引銀行からの出向役員を受け入れている場合や、財務・管理など専門的な知識・能力をもった人材を外部から招聘する場合、取引先、業務提携先などからの役員を受け入れている場合、さらには経営監督の観点から非常勤取締役を受け入れている場合なども多く、また、上場企業においては独立した有識者や経営者などから直接の利害関係のない社外取締役が選任されることとなっています。

金融機関

金融機関は、会社の資産を担保に取り、また代表取締役などを保証人として、会社に対して短期の運転資金や長期の設備投資の資金などを貸し付けます。会社法上、金融機関には会社の経営に介入する権利はありませんが、会社が経営破綻した際には会社の処理に対して発言する権利が与えられており(民事再生法、会社更生法)、また、債権残高やその状況が株価には大きく影響することとなるため、会社の経営及び事業承継においては無視することはできない存在と言えます。

会社が取引している金融機関は複数いることが多く、その中で貸付残高が一番多い金融機関がいわゆるメイン行として金融取引の音頭をとります。融資の方式としては、上述の長期短期の区別の他、信用保証協会の保証付きの融資や、複数行が同一の条件で融資を行う協調融資やシンジケートローン、金融機関が引受先となる私募債などがあります。

取引先

取引先は、会社に原材料、商品、サービスなどを提供する仕入元と、会社の商品、サービスを購入する販売先に大きく分かれます。事業承継はこれらの取引先の関係にも少なからずの影響を与えることとなるため、事業承継においては事前に整理すべき要素と言えます。
特に特定の取引先が売上や仕入に占める比率が大きい場合や、会社の商品、サービスの構成、品質にとって必要不可欠のものである場合、当該取引先との関係が事業の行く末に大きな影響を与えることとなるため、事業承継の前に安定的な取引関係の確保や取引停止のリスクを分散する措置を講じておくことが必要となります。