事業承継における株主総会決議事項と決議要件

事業承継においては増資、役員の変更、定款の変更などの手続きが必要になりますが、これらの手続きの多くが株主総会の決議を必要とします。

役員の選任、解任などは普通決議で行うことが可能ですが、会社の組織形態に大きな影響を与えるものの多くは特別決議という出席株主の3分の2以上の賛成が必要となります。そのため、株式が分散している会社における事業承継においては他の株主との事前調整も重要となってきます。

総会決議の種類

定足数・決議要件

代表的な決議事項の例

普通決議 総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の過半数以上の賛成(会社法309条1項) ■自己株式の取得(会社法156条1項)

■役員の選解任(会社法329条1項、341条)

■減少額が分配可能額より少ない場合の資本金の額の減少(会社法447条1項)

■準備金の額の減少(会社法448条1項)

■資本金の額の増加(会社法450条2項)

■準備金の額の増加(会社法451条2項)

特別決議 総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の2/3以上の賛成(会社法309条2項) ■譲渡制限株式の買取(会社法140条2項)

■特定株主からの自己株式の取得(会社法156条1項、160条1項)

■全部取得条項付種類株式の取得(会社法171条1項)

■譲渡制限株主の相続人に対する売渡請求(会社法175条1項)

■募集株式・募集新株予約権の発行における募集事項の決定(会社法199条1項、238条2項)

■募集事項の決定の委任(会社法200条1項、239条1項)

■株主に株式・新株予約権の割当を受ける権利を与える場合の決定事項の決定  (会社法202条3項4号、241条3項4号)

■資本金の額の減少(会社法447条1項)

■定款の変更(会社法466条)

■事業譲渡の承認(会社法467条)

■吸収合併契約・吸収分割契約・株式交換契約の承認(会社法783条1項、795条1項)

■新設合併契約・新設分割計画・株式移転計画の承認(会社法804条1項)

特殊決議 議決権を行使できる株主の半数以上(人数)、かつ行使可能な議決権の2/3以上の賛成(会社法309条3項) ■全部の株式に譲渡制限をかける定款変更(会社法309条3項1号)

■非公開会社への移行(会社法783条1項、804条1項)

特別特殊決議 議決権を行使できる株主の半数以上(人数)、かつ行使可能な議決権の3/4以上の賛成(会社法309条4項) ■配当や残余財産を受ける権利について、株主ごとに異なる取り扱いにしていた場合の定款変更

注)取締役設置会社に関するもの。また別段の定めが可能なものもある。