事業承継がうまく進まない理由

事業承継の抱える課題

現役の社長にとって、事業承継というと、ご自身の引退がイメージされ、着手は後回しになりがちです。また、実際に事業承継を検討されていたとしても、将来の業績低迷の予測から消極的になってしまっていたり、後継者の確保ができずに、日々の営業に忙殺されている方が多くいらっしゃいます。

帝国データバンクのアンケート調査でも、自分の代で廃業をすることをやむを得ないと回答した方の内、事業承継が円滑に進まなかった理由として、上記のような将来の業績低迷の予測、後継者確保の困難、次いで、誰にも相談しなかったことが理由として挙げられています。

事業承継は、同じ企業が二つとないのと同様に、とられる選択も様々で、正解というものがありません。その為、具体的な取り組みが分からず、将来の業績低迷を危惧して、誰にも相談せずに、社長が一人で抱え込んでしまう傾向にあるのです。しかし、孤軍奮闘して創り上げてきた企業には一つ一つ企業価値があり、例え市場環境の変化から業績が低迷をしている場合でも、事業承継と同時にビジネスモデルの若返りを図ることで、業績が改善されることも多くあります。まずはどうしたらいいのか分からないという段階でも、諦めずに、一度専門家にご相談されることをおすすめします。

事業承継は準備活動が重要

事業承継は、社長の座を譲るタイミングのみを意味せず、後継者の育成や社内体制の整備等の準備段階も含まれ、長期に渡っておこなわれるのが一般的です。その期間は、『中小企業白書2014年度版』によると、後継者の育成期間だけでも、5年から10年といったスパンで行っている企業が多いことが分かります。

また、事業承継の着手が遅れた場合、ご自身の指名したい後継者に引き継ぐことができなくなるリスクや、親族内承継の場合は相続税が会社の資金繰りに影響を与える可能性があります。そのため、長期に渡るものだという認識のもと、事業にあった準備に早くから着手することが成功の秘訣です。

事業承継の流れ

実際の事業承継の内容については、その企業ごとに合った形で遂行することになるため、一概には言えませんが、おおまかな概要については下記のフローで行われることが多いです。

経営をしながら、事業承継に一気に取り組むのも負担が多いため、社長に先ず決めていただくのは、後継者を誰にしたいかというポイントになります。後継者候補がいない場合には、M&Aを含めた第三者への承継を検討していきます。

まずは現状把握

事業承継は、戦略的に行うものですので、まずは現状の分析を行い、株主、経営陣、金融機関、及び取引先のステークホルダーごとに関係を整理する必要があります。

また、ポイントとしては、いずれは後継者が個人保証を引き継ぐことも考えられるため、借入金の返済状況や連帯保証及び抵当権を確認しておく必要があります。

特に、中小企業の場合は、経営者のカリスマ性やその経営手腕で、企業が推進してきたという背景があり、財務面でも個人に頼らざるを得ない状況の場合が多く、個人資産が会社の主要資産となっていたり、反対に個人で使用している資産が会社名義となっていたりと、個人と法人とで資産の混合がある場合があります。事業承継ではそれらを整理し、過不足なく承継していくことが求められる場合があるためです。

また、株主についても、同様に確認が必要です。取締役会の非設置会社の場合、及び後継者を現役員から選ばない場合などには、後継者の選任に当たり、株主総会の議決権の過半数を要することになるため、後継者の選任について株主が反対する可能性がないかの検討も要します。

これらの検討においては、我々のような専門家にまずはご相談いただければ、会社法上の手続きや税務上の課題、そして後継者選びの選定から、今後の事業戦略についてのアドバイスと提案をさせていただきます。