支援前

 X社は、オーナー一族が株式を保有するアパレルメーカーである。同社は、長期にわたる業績低迷により、過剰負債状態にあり、業界の冷え込みによって赤字転落していた。

 銀行団からは元本返済停止を受けつつ、短期資金の供与も受けていたが、業績の悪化によってこれらの金融支援を継続することも厳しい状況となり、中小企業再生支援協議会の関与のもとでスポンサーを利用した金融債務削減などの金融支援なども検討される状況にあった。

支援内容

 X社の事業内容、財務内容を詳細に検証した結果、同社の収益構造の最大の問題点は、トップダウン組織における売上拡大至上主義により産み出された大量の商品アイテムが在庫過剰を引き起こし、部門間の連携機能不全がそれをさらに推し進めていった結果、これらの過剰在庫が原価率を押し上げていったという点にあり、かつ、業績管理のPDCAの機能しておらず同社の事業領域にある成長機会を取り逃がしていたという点も挙げられた。

 そこで、銀行団に対しては元本返済停止の半年間の延長を要請しつつ、抜本的収益改善のための施策として、「1、商品・店舗の選択と集中」、「2、部門間連携強化」、「3、収益性の高い商品へ特化」、「4、販路の最適ポートフォリオ戦略実行」の4つの経営方針を採ることにした。

 かかる方針に基づき、各部門の管理者から構成された、代表者の関与しないプロジェクトチームを組成し、ボトムアップの方式により現場の声を吸い上げることで各施策のたたき台を各部門連携の元で作成した。

 その結果、従来の代表者の属人的な経験則のみから策定されていた計画とは全く異なる、実効性の高い中期経営計画、アクションプラン及び返済計画が完成し、これにより銀行団からも継続支援の了承が得られることとなった。

支援後

 上記の施策により、売上も上昇、赤字を脱却した結果、銀行団との関係も大幅に改善されることとなった。

 支援前は、オーナー家の事業意欲も低下していたため、債務処理の有無に関わらず、事業承継が検討されていたが、業績が上向いた結果オーナー家の事業意欲も向上し、様々な前向きなプロジェクトが検討されている。